ニースから車で30分足らず。中世の雰囲気を色濃く残す鷲ノ巣村、ヴァンス。村の周りには、商店や住宅が立ち並び、比較的発展している村だが、ひとたび城壁の中に足を踏み入れると、突然タイムスリップしたかのように中世の雰囲気に包まれる。

 石畳の小道を歩いて行くと、センスの良いショップや、かわいらしいレストランが軒を連ね、街角には思わず笑ってしまうよいうな、遊び心いっぱいのオブジェや絵が飾られている。気さくな雰囲気で、思わず心が和む。

また、ヴァンスを語るとき、マティスの集大成と言われるロザリオ礼拝堂を抜きには語れない。

 私たちが知っているものとは、まるで違った雰囲気のその教会は、まさにマティスの芸術、哲学、想いのすべてが詰まった空間。ステンドグラスを通して、地中海より降り注ぐまばゆい光に、真っ白な礼拝堂が包まれてゆく姿は、暖かく、安らかで、力に満ちて、崇高で・・・・究極的にシンプルで、究極的に美しく、そして何よりも優しく、訪れる人すべてを癒してくれるような空間。

ここはきっとマティスが私たちに残してくれた贈り物だと思う。毎日の生活に少し疲れてしまったら、是非訪れてみて欲しい。ロザリオ礼拝堂は、いつでも 傷ついた私たちを優しく包み込んでくれることだろう。