頂きへと登るワインディングロードを走っていると、不意に現れるその美しい景色に目を奪われる。天空の村、そんな表現がぴったりの村、ゴルド。

かつては要塞都市として幾多の苦難を乗り越えてきたゴルドは、世界的にプロヴァンスの地が有名になって以降、すっかり高級別荘地となり、趣味の良い邸宅が無数に立ち並び、多くの観光客を惹きつける魅力的な村となった。

 村の中心そのものはとても小さく、歩いても20分程で周れるくらいだが、石畳で入り組んだ路地は起伏も激しくまるで迷路に迷い込んだかのよう。至る所に城壁や家屋の一部を通り抜けるようなトンネル？もあり、この村へ攻め込むことはさぞ難しかった事だろうと感心してしまう。そんな迷路を迷いながら歩いていると、突然視界が開け、豊かなプロヴァンスの風景を一望できる。すべてが石造りの乾いた印象のゴルドから、緑豊かなプロヴァンスの大地を眺めると、何だかとても幸せな気分になる。

 村の中心には古いお城があり、その周りは土産物屋やレストランで賑わっている。お城の前の広場では週に一度マルシェが開かれ、近隣の住民も買い物に訪れる。ゴルドのレストランは、お金持ちの別荘族を相手にしているせいか、なかなかレベルが高く、ランチタイムをのんびりと過ごすにはもってこいだ。

 心地よい乾いた風に吹かれながら、レストランのテラスでワインを傾ければ、もう気分はすっかりプロヴァンス。中世の雰囲気と、おしゃれなお店、豊かな大地、ゆっくりと流れる時間。きっと幸せには、それほど多くのものは必要ないのだろう。